人気の登山用地図アプリ「YAMAP」を生んだ、ひとりの登山愛好家。
会社のためにバリバリ働くのは古い。人気の登山用地図アプリ「YAMAP」に込められた"現代の暮らし観"
アウトドアファンに人気の登山者用地図アプリ《YAMAP》を開発したのは、自ら「山が好きだ」と話す春山慶彦さん。「好きを仕事にすること」に警鐘を鳴らす人たちをよそ目に、自らの道を突き進んでいる。春山さんは、仕事をどのように捉えているのか。そして、なぜこのような生き方を選んだのか。
YAMAPを生んだ、ひとりの登山愛好家。
登山者用地図アプリ《YAMAP(ヤマップ)》が人気だ。
一般的に、登山中の位置確認は専用のGPS端末で行なわれてる。しかし、値段は安くても3万円程。気軽に購入できるアイテムではない。そこで、ス マートフォン搭載のGPS機能に注目したのがYAMAP。アプリから専用の地図を事前にダウンロードすることで、携帯の電波が届かない山のなかでも、スマ ホで位置や経路を確認することができるというわけだ。
安全第一の開発思想が評価され、2014年にはグッドデザイン賞特別賞「ものづくりデザイン賞」を受賞。アウトドアファンのなかで、YAMAPユーザーは増加の一途を辿っている。
YAMAPの生みの親が、福岡のスタートアップである株式会社セフリの代表取締役 春山慶彦さんだ。春山さん自身も登山愛好家。「山が好き」と公言しており、セフリという社名も日本三百名山の一つ『脊振山(せふりさん)』に由来している。
しかし、「”好き”を仕事にすること」に反対意見を述べる人がいるのも事実。果たして、春山さんは仕事や山をどのように捉えているのか。彼のバックグラウンド、そして仕事観に迫ってみた。
屋久島、穂高岳、そしてアラスカが教えてくれたこと。
― まず、春山さんが山、というか自然に興味を抱いたキッカケから教えてください。
元々、体を動かすことが好きでした。自然に興味を持ったのは、大学時代に自転車で屋久島を旅していたときです。自転車の旅って、お風呂に入らないと 翌日すごくキツいので、道中で知り合った旅館の主人に「お風呂だけ入らせてもらえませんか」ってお願いしたんです。すると「ご飯も食べていっていいよ」っ て言ってくださって。
食事をしながら、旅館の主人といろいろお話しをさせてもらいました。そうしたら、「ここで1ヶ月ほど働いていかない か。オレの知っていること、全部教えてやるから」って言われて。旅館の主人はとても素敵な方でしたし、めったに得られない機会だと思ったので「ぜひお願い します!」と。で、素潜りの方法や植物の見分け方、魚のさばき方など、旅館の主人にあらゆることを教えてもらいました。実際に海に潜って、銛(モリ)でカ ワハギを獲り、それをさばいて…と。今まで気付けていなかったけど自然はスゴイな、スゴイ世界が身近にあるんだな、ということを屋久島で体感しまし た。
旅館の主人との出会いがなければ、自然に興味を持つことはなかったかもしれないし、屋久島の自然が僕に語りかけてくることもなかったと思います。人との出会いを通じて自然の奥深さに気付くことができました。
山登りは、大学時代の恩師の誘いで始めました。恩師と一緒に穂高岳を3泊4日で縦走したんですけど、「もう二度と行くか」ってくらいキツかったし、何で登っているのか”意味”がわからなかったですね(笑)・・・・・続く
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