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「ストレスがない道具だけが手元に残る」登山ガイド・菅野由起子さんに山の魅力を聞く

新進女性登山ガイドの菅野由紀子さんに、山の魅力を聞く

初めての山は、山岳会の定例合宿で向かった剱岳でした。1週間に及ぶ長い山行だったのですが、毎日いろんなことが起きました。落石があったり、嵐に飛ばされそうなテントを抑え続けたり、別の晩にはテントから顔を出して流星群を見たり。この旅のインパクトは相当なものでした。この時の登山が穏やかなものだったら、もしかしたら山にはまらなかったかもしれません。

「ストレスがない道具だけが手元に残る」登山ガイド・菅野由起子さんに山の魅力を聞く Source:A kimama

老舗山岳系出版社を経て、登山ガイドへ

学生時代は山岳会の定例山行や、気の会う仲間と山に通い続けました。就職後、配属されたのは直接山とは関係ない経理部でしたが、土日はしっかり休めたので山には通い続けられました。

その後、雑誌の編集部へと移動になったのですが、そこで登山ガイドの試験を取材する機会がありました。そこではじめて、登山ガイドの仕事を意識し、魅力的に思いました。試験に受かるには体力的に余裕があるうちでないと難しい。当時の私は30歳前後。急いで勉強をして、登山ガイドへと転向しました。

安全を確保しながら、山を楽しんでもらう

個人事務所で何年か修行を積んで、今はツアーのガイドと個人でのガイドを並行して行なっています。初心者は体力と集中力が切れる下山中に事故を起こしがちなので、個人でガイドするときは下山のルートが楽なコースを選ぶように心がけています。

好きな山域はすまいのある妙高山周辺や八ヶ岳。通い続けていると、技術的な話だけでなく、季節に合わせて移ろう自然の話を盛り込むこともできます。ツアー中の食事にも地元の山菜や食材を加えて、舌でも地域の自然を楽しんでもらえるようにしています。

使いやすい道具だけが残る

登山の道具は気に入ったものを使い続けています。特定のメーカーが贔屓ということもありません。道具選びの指針を敢えて言えば、『使っていてストレスがないもの』となるでしょうか。使い勝手が悪いもの使わなくなるので、手元には使いやすいものだけが残っていますね。

山行にもよりますが、お客さんが30ℓ程度のザックで済む時は、私は50ℓ前後のものを使っています。救急用品やロープ、ツェルトなどを入れようと思うと、これくらいの容量になります。

現在使っているのはグレゴリーのJ53。大きなスペースのある背面システムのおかげで背中が蒸れず、また、ベルト類も通気性が高いので快適です。

そして、重宝しているのが内容物へのアクセスのよさ。ジッパーが各所に配され、必要な道具にすぐにアクセスできます。救急用品やロープなどは普段は使わない道具ですが、必要になれば、すぐに取り出せなくてはいけないもの。

ガイドとして、いざという時に使いやすいのは心強いですね。

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「ストレスがない道具だけが手元に残る」登山ガイド・菅野由起子さんに山の魅力を聞く

Source:A kimama(登山ガイド・菅野由起子「道具選びで大切なのは使いやすさ。ストレスがない道具だけが手元に残る」)

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