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遭難続き、登山道どうする《知床を活かす》

「自然のまま」か整備か

知床半島中央部にほぼ一直線に連なる知床連山で昨年、遭難が相次いだ。リスク軽減のために登山道の整備を進めるべきか、それとも自然を守るために手を入れないほうがいいのか。

遭難続き、登山道どうする《知床を活かす》 Source:朝日新聞

道警によると昨年、知床連山の世界自然遺産地域で6人が遭難事故に巻き込まれ、2人が遭難騒ぎを起こした。計8人のうち1人が死亡、3人がけがを負った。6人のケースが硫黄山(1562メートル)で発生し、1人は山頂付近で滑落死。ほかの5人は同じ場所で「道迷い」を起こしていた。

硫黄山は、縦走ルートで羅臼岳から1、2泊かけて最後に登る山だ。このルートは、左にオホーツク海、右に根室海峡に浮かぶ国後島を臨め、知床固有種のシレトコスミレをはじめとする高山植物も楽しめる。入山簿から、昨年は400人以上が歩いたとみられる。

遭難続き、登山道どうする《知床を活かす》

Source:朝日新聞

ただ、羅臼岳までの登山道はある程度管理されているのに対し「(硫黄山への道は)管理されていない。硫黄山の山頂周辺は急傾斜の崩落地形で迷いやすく、危険な場所」(環境省ウトロ自然保護官事務所)だ。

道警や地元の斜里山岳会などによると、「道迷い」の全員が硫黄山からの下山ルートの大岩分岐(硫黄沢分岐)を左に曲がらず、先のウブシノッタ川に入り込んだ。その先は両岸が急な崖となり、下ることも崖を越えることも困難になる。

昨年8月17日に迷い込んだ男性はこの川で滑落して足を負傷し、1週間行方不明になった。8月8日にもチェコ人の男女2人が迷い込んで遭難騒ぎに。9月14日は男性2人が迷い込み、入山4日目に道警ヘリに救助された。

12年前から地元で登山ガイドを務める滝澤大徳・知床山考舎代表は「山の情報は書籍やインターネットであふれているが、読んだからと言って登れるわけではない。コンビニエンスな感覚の人が増えた」と最近の傾向を分析。「遭難は間違いなく個人が原因の部分が大きい。自立した登山者になってほしい」と話す。

地元では「縦走ルートはなるべく手を加えず、自然のままにしておくべきだ」(斜里山岳会理事)との考えが根強い。ただ、遭難が相次いだ昨年9月下旬、環境省は……

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遭難続き、登山道どうする《知床を活かす》

Source:(朝日新聞:《知床を活かす》遭難続き、登山道どうする 文/神村正史)

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